キャストの中でも別格な店のナンバー

私の働いていたキャバクラは、中箱で、在籍キャストの数は50人弱でした。

週6オープンラストまで働く人から、3ヶ月以上休んでいまた復帰した人、月に2~3回しか出勤しないけど3年以上働いている人など様々でした。

私は18歳でしたが、お店自体が10代の女の子が多く、私はあっという間に同年代の友人がたくさん出来ました。今まで知り合う事のなかったコッテコテのギャルの子とも2人で遊ぶほど仲良くなり、友人の層が広がりました。

そんなお店の中で、オーラを放っているのがナンバーのお三方でした。三人とも一匹狼的タイプで、男性スタッフとは話すけれど、キャストとは交流を持たない、三者三様の女性なのですが、そんなところは似ていました。

絶対ナンバーワンを譲らないMさんは、物静かで気品のあるタイプ。お客さんの話を聞くのが上手でした。

ナンバー2のJさんは派手めなセクシータイプ。男性のボディータッチも多く、色気で落とすというスタイルでした。ナンバー3のAさんは、とにかくビックリするくらい美人でした。

気が強く、お客さんにもズバズバ言うところが魅力の格好良いキャストでした。3人の年齢は20~21歳と私と2~3歳しか違わないのに、私には洗練された女性に見えました

まるで、中学校の入学式で、中2の先輩は5つ上、中3の先輩は10も上にも見えた感覚。まさか18歳にもなって、年齢2~3歳しか違わない人をこんなにも大人だと感じる事があるだなんて思ってもみませんでした。

着るものもたくさん衣装を持っているようでいつも違い、化粧も完璧、指先のネイルまで行き届いていて、 私達のように10代で騒いでいる愉快な仲間達とは別格でした。

やる気のないキャバ嬢

私は、はっきり言ってやる気のないキャバ嬢でした。お客さんからメールが来れば返信はしますが、自分から営業メールをする事はありませんでした

いつ辞めるかばかり考えていたので、店のためにドレスを買うなんて馬鹿馬鹿しいと思い、お店にあるドレスしか着なかったり、名刺もみんなゴージャスな自分だけの名刺を作り、ばらまくようにお客さんに渡す中、自分の名刺は作らず、お店の白い淡白な空名刺に名前を手書きで書いたものを「名刺ちょうだい」と言われたお客さんにのみ渡していました

ドリンクバックのためにドリンクをねだる事も一切せず、お客さんが頼んでくれると言ってくれたら注文するという形を貫き通しました。

何故か意地になり、絶対にこの仕事に染まらないという考えだったのです。仕事が終わると送りの車が出るのですが、天気が悪い日や体調不良の日以外は歩いて帰っていました。

お店から私の住んでいたマンションまで徒歩10分弱、キャバ嬢からリセットする時間を作りたくて、気持ちの切り替えのために深夜に毎日歩いて帰る日々でした。とにかく接客が嫌いで、ビラを配っている時間が平和な時間でした。

いつまでもお客さんが入らなければ良いと内心思いながら、接客するなら寒い外のほうが天国。ビラを配っていた場所が、某牛丼チェーン店の横で、私は今でも牛丼の匂いをかぐと、18歳のキャバクラ時代を思い出します

香水の香りで昔を思い出すのはよく聞く話ですが、私の場合、あまりにも18歳でのキャバクラデビューが衝撃的な時代だったので、牛丼の匂いと共に、強く心に刻み込まれたのです。

 

 

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